| トップへ戻る |
| 「ゲームレビュー」インデックスへ戻る |
|
![]() |
|||||||||||||||
| <まゆエンド> まゆは、この作品中でも天川さんとタメを張る異色キャラ。妙に時代がかった言葉遣いや度を越えたドジっぷり。いわゆる萌え系を露骨に狙った設定に見えました。 しかし、まゆルートで話を進めていて気づいたのは、彼女は孝之の真逆の位置に存在するキャラクターとして位置づけられていたのかな、という点。孝之同様、身近な人の交通事故によって人生を狂わされていながら、まったくネガティブな感情を表に見せないまゆ。孝之がネガティブな感情を放出しまくって、周囲に大いなる悪影響を及ぼしたのとは実に対照的です。まゆほど能天気な感じではなくとも、この半分くらいの明るさを孝之が持っていたなら・・・と思わせることも一度ならずありました。 そういう意味では、うまく作りこんでやれば、このまゆエンドも遙エンドや水月エンドに比肩するほどの内容を実現できる要素は持っていたように思えます。実際、中盤まではうまく雰囲気が出ていました。遙と水月の板ばさみになった孝之が癒される場所として、同種の心の傷を持つ彼女の存在は実に大きいものがあったのでは。同様に心に傷を負った茜のシナリオが余りに悲劇的といか痛すぎるのに比べると、適度な(という表現が適当かどうか・・・)辛さと癒しのあるシナリオではありました。 残念なのは、ラスト近くがやや駆け足になってしまったところ。遙、水月エンドでは、結論が出てからもかなり丁寧に物語を描いていた印象があるのですが、まゆエンドでは結論が出たところで話は終わってしまってます。脇役だから、と言われてしまえば返す言葉もないのですが、出来ればもうちょっと力を入れたシナリオにして欲しかったですね。 |
![]() |
![]() |
<あゆエンド> これは、数あるこのゲームのエンディングの中でももっともラブコメ的要素の強いルート。孝之と大空寺は日ごろから何かと衝突している仲だし、そういう中でいつの間にか相手を好きになってしまうというのは、もうこれはラブコメのお約束のような展開ですね。 そういう意味では、このあゆルートは、シリアスになりがちな第2章の各ルートの中で、異彩を放っていたといえるでしょう。二人の攻撃的なやり取りを見ているのが楽しくなってくる、なんていうのは、他では感じられなかった感覚です。 しかし、それだけではありません。むしろ、別の点にこの「あゆエンド」の存在価値はあったように思います。一つは、孝之が大空寺に対して、3年前の事件を語るシーン。これまで、こういった形で3年前をある意味客観的に述懐することがなかったから気づかなかったのですが、昔語りのように語られて、まるで自分がそうであったかのように感じる既視感。もちろん、これは1章の丁寧な描写あったればのものなのですが、他のエンディングを見るために何度も2章をやり直している中、1章の存在価値を改めて感じさせるエピソードでした。 そして、その直後に起きた事件。大空寺が遙との思い出の写真や絵本をすべて処分してしまったこと。これも他の登場人物だったら考えられない事態ですが、むしろそうされたことで、これまた孝之と同様、いかに1章の思い出に自分が縛り付けられたかを思い知らされました。処分された、ということに驚きを覚える一方、確かに孝之と同じように開放感を感じている自分がいました。 1章の存在価値の確認と決別。そうしてみると、この「あゆエンド」は、サブキャラのエンディングの中では一番重要な話だったのかも知れません。 |